症状・症例

ケース18

症例:腰部椎間板ヘルニアで右後ろ足を挙上していた症例 ミニチュアダックスフンド 10歳 メス

数日前から急に右後ろ足を挙上しだし、歩くときに右足が地面につけなくなったとのことで来院されました。
*以前に重度の椎間板ヘルニアを発症し、当院にて手術を行っていた子でした。その後、左後肢の後遺症は少し残っているものの問題なく生活できていたようです。

触診では腰の右側を触ると痛がる様子が認められ、軽度の麻痺も認められました。しかし、右足自体には痛みはなく、脱臼/靭帯の損傷などの異常も認められませんでした。
以上から、右後ろ足を上げているものの、足自体の異常ではなく、腰の神経の異常を疑いMRI/CT検査を行いました。

【MRI検査】
第5-6腰椎部位において、右側の神経根(脊髄から枝分かれした細い神経)部位に、椎間板ヘルニアを疑う占拠病変が認められました。

【CT検査(脊髄造影)】
第5-6腰椎の右側の椎間孔部位に高CT値の物質が認められました。

【診断】
腰部椎間板ヘルニア

【治療】
腰の椎間板ヘルニアの場合、多くは足を引きずる、歩けなくなるといった麻痺症状が出ますが、今回のように腰の後ろ側の部位の椎間板ヘルニアで、特に脊髄本体ではなくそこから後ろ足に分岐する神経(神経根)が椎間板ヘルニアなどにより圧迫されると、足を上げるという症状となることがあります。
後ろ足の骨、関節、靭帯や筋肉などに異常がないのに、足をつけない状態が続いている、といった場合には、こう言ったヘルニアが存在する可能性があります。 鎮痛剤・安静といった内科治療により改善することもありますが、今回はヘルニアが大きかったこともあり、手術による椎間板物質の除去を行いました。

手術:第5−6腰椎 右側の片側追求切除術
手術中、実際にこの部位で右側の神経根を圧迫する椎間板物質が確認できたので、これを取り除きました。

■第1病日
まだ弱いですが、右後ろ足を地面につけるようになりました。

■第3病日
歩き方はぎこちないものの、快適に歩いてくれるようになりました。

■第8病日
術後の痛みもなく、快適に歩いてもらえるようになり、退院となりました。