症状・症例

ケース1

症例:ミニチュア・ダックスフント オス 6歳

■第0病日
朝に腰を痛め、昼過ぎから後肢が立てなくなり、夕方にかかりつけの動物病院で痛み止めの注射を打ったが改善が認められないということで当院をその日のうちに来院されました。
来院時は両後肢が完全麻痺の状態ではありましたが、後肢の足先の痛みを感じることはできる状態でした。
上記の症状および身体検査・神経学的検査の結果から、椎間板疾患を第一に疑い、MRIおよびCT検査を実施。その結果、第2〜3腰椎間に正中腹側からの椎間板による脊髄圧迫を認めました。脊髄の圧迫範囲は尾左側に向けて広く認められました(画像参照)。また、脊髄造影検査でも同部位に脊髄の圧迫を認めました。
以上の所見から、左第2〜3腰椎間の椎間板疾患(椎間板ヘルニア)グレード4と診断し、飼い主様との相談の上、即日手術することになりました。
手術は第2~3腰椎左側の片側椎弓切除の後、突出した椎間板物質の除去を行いました。手術時、脊髄には特に大きな異常は認めませんでした。

■第1病日
痛みが強い様子が認められたので、鎮痛剤の継続と、ステロイド剤による脊髄の保護の治療も追加しました。

■第5病日
この日から徐々に後肢を使っての歩行が可能になってきました。リハビリを開始しました。

■第19病日
歩行状態、一般状態ともに良好であったため退院。

■考察
本症例は発症した当日に手術を行うことができ、比較的良好な経過を認めました。今後は歩行状態にあわせて徐々に運動量を増やし、積極的なリハビリによって更なる歩様改善が期待できると思われます。


<退院前日の歩行>
若干のふらつきはあるものの、4つ足での起立・歩行が可能であり、小走りもできています。