症状・症例

ケース8

症例:環軸亜脱臼の整復を実施した例 ポメラニアン 7か月 メス

手術前


リードで軽く引っ張ってから急に意識を失い、その後立てなくなったとのことで紹介を受けました。
当医来院時には四肢の不全麻痺及び頸部痛が認められました。
なお、以前より頸部を触られるのを嫌がっていたとのことです。

MRI/及び造影CT検査にて軸椎の歯突起による脊髄の圧迫が認められ、
環軸亜脱臼による症状が疑われました。

※環軸亜脱臼はもともと環椎軸椎(第一・二頚椎)に緩みが認められ、
この症例のように少しのキッカケで急に症状を起こすことのある疾患であり、
頸部椎間板ヘルニアなどと間違われやすい疾患。
症状が重度になる前の早期の治療が将来を左右するため、
なるべく早く適切な診断を行うことが非常に重要です。

数日間内科治療を行ったものの、著しい改善が認められなかったため、手術による固定術を実施しました。
手術ではピンにより環軸椎を固定した後、スクリューを設置し、骨セメントを用いて固定を行いました。

術後早期から頸部痛及び四肢の麻痺の改善が認められました。
なお、術後すぐから起立は可能となりました。


■術後3日
わずかなふらつきはあるものの、歩行が可能となりました。


■術後10日
ほぼ正常な歩行が可能となりました。
レントゲンにて異常は認められず食欲も含め一般状態も良好であったため、退院としました。


■術後30日
頸部痛も認められず、正常な歩行状態が確認されています。