症状・症例

ケース9

症例:脊髄空洞症により頸部痛を認めた例 トイプードル 1才 メス

ワンちゃんが「どこかを痛がる」とのことで来院されました。
神経学的検査では麻痺などは認められず、頚部痛のみが認められました。
なお、以前より首周囲を気にする仕草は認められていたとのことです。

頚部疾患を疑いMRI検査を行ったところ頸髄C2を中心として拡張所見が認められ、
軽度の後頭骨形成不全症が認められました。
以上より、今回の症状は水脊髄空洞症によるものと診断しました。

*脊髄空洞症は若いキャバリアやトイプードルなどに多く、
頚部の神経に液だまり(脳脊髄液)ができることにより頚部痛や四肢の麻痺などをおこす疾患です。
頚部の椎間板ヘルニアや環軸亜脱臼に症状が似ており、どこかを痛がるといった症状のみの場合もあります。

頸部痛のコントロールのために非ステロイド性の消炎鎮痛剤及び神経疼痛の改善を目的として、
ガバペンチンの投与を開始しました。
また、2週間後には症状の改善が認められなかったため休薬期間を設けたのち、
ステロイド剤(プレドニゾロン)の投与を開始しました。

プレドニゾロン投与後早期から頸部痛の改善が認められました。
プレドニゾロンに対して劇的な症状の改善が認められたため、徐々に用量を軽減しました。

量を減らしても頸部痛のコントロールができたので数ヶ月かけてさらに用量を軽減していき、
診断から8ヶ月で最小量のプレドニゾロンのみで症状がコントロールできていたため投薬をなくし、
その後経過を見ているが現在まで症状の再発は認められず、通常通りの生活を送っています。