椎間板ヘルニアのリハビリテーション

椎間板ヘルニアのリハビリテーションは、症状や術後の経過・また治療法などによって、その都度リハビリテーションの目的・目標は変わっていきます。
その為、病状に合わせた適切な評価と、動物の性格やストレスの感じ方などから適切なリハビリテーションを選択していきます。

正しい検査・診断が必要

不適切なリハビリテーションは病態の悪化を招く恐れがあります。 リハビリテーションを行う前には獣医師の診断が必要です。 ・椎間板ヘルニアと似た他の疾病例 変性性脊髄症 脊髄梗塞 脊髄炎 など

椎間板ヘルニアのリハビリテーションの目標

リハビリテーションは以下を目標とします。

手術直後のリハビリテーション

手術後直後は、痛みと炎症反応、慣れない環境によるストレス反応などが見られます。※個体差あり まずはこれらの緩和を行なっていくことが目標となります。

神経機能の回復・運動機能の回復

痛みと炎症がひいてきたら神経機能の回復と運動機能の回復を目指します。 術後の経過により、リハビリテーションを選択します。

―肢端刺激
麻痺のある足先に刺激を与えることで、神経に刺激を与え回復を促します。
また、引っ込め反射を誘発させることで筋力の改善効果を目指します。
―他動的関節可動域運動
不動化により、関節は固まり、筋肉は萎縮していきます。
関節を動かしてあげることで、関節の強張りを緩和し、筋肉や関節の血流やリンパ液の流れを改ます。
―他動的関節可動域運動
不動化により、関節は固まり、筋肉は萎縮していきます。 関節を動かしてあげることで、関節の強張りを緩和し、筋肉や関節の血流やリンパ液の流れを改善します。

●運動療法

―支持起立
起立の姿勢を介助・保持することで、筋肉の萎縮を改善、固有位置感覚を刺激します。
起立の姿勢から体幹を揺らすことで、バランス感覚を再訓練・強化します。
―筋力・体幹トレーニング
様々な道具を使い、神経を刺激し、固有位置感覚の改善・筋力増強・バランス感覚の強化を行います。
動物たちが楽しんで行うことができるので、緊張の緩和・リラックス効果も期待できます。

●カートセラピー

車椅子を用いて、固有位置感覚の回復と、筋力増加を目指します。
また、歩行の回復が望めない病態の動物においては、自分の意志で動くことができるようになる為、生活の質の改善が望めます。

●鍼治療

ツボ(経穴)を鍼で刺鍼することで身体のバランスを調整し、自己治癒力を刺激する治療法です。
痛みの緩和・運動機能の改善・自律神経の調整に効果があります。

●ダイエット

体重過多は、筋力が低下したい際に自身を支えることができなくなります。
適切な体重管理を行うことはとても重要です。

●その他

・水中療法
水の浮力を利用して、エクササイズを行い、筋力増加・持久力増加を目指します。
・超音波療法
超音波を患部に当てることで、痛みの緩和や傷の治りを早め、筋肉の緊張を和らげる等の効果があります。
・レーザー療法
レーザーを患部に当て、傷の治癒を早め、痛みの緩和や炎症を抑える効果があります。

※症例により必要性がある場合は専門施設をご紹介しています。

当院での椎間板ヘルニア術後リハビリテーション

①CCRT(動物の理学療法士)による評価
椎間板ヘルニアの術後は、手術手技や、神経のダメージの度合い等によって、回復のスピードや回復度合いは様々です。
毎日変わる回復の程度を動物のリハビリ認定医(CCRT)が評価し、リハビリテーションのメニューを検討します。
②リハビリテーションの実施
入院動物は慣れない環境下、飼い主様がいないことのからの不安等、病状以外にも様々な問題を抱えています。
動物たちに不快な思いや恐怖心を与えでは、リハビリテーションは行えない為、動物たちの性格や行動を観て、訓練された看護師がリハビリテーションを実施していきます。
③再評価
定期的にCCRTが患者の状態の再評価を行い、その都度リハビリテーションメニューを検討していきます。
④退院後のリハビリテーション
ご自宅でできるリハビリテーションを指導させて頂きます。
動物たちにも、飼い主様にも無理のないリハビリテーションを一緒に検討してきます。
⑤通院でのリハビリテーション
椎間板ヘルニア術後の患者の多くは自宅でのリハビリテーションで十分な機能改善が望めますが、重度のヘルニアの場合や、後遺症が残った場合、より高い機能改善を目指す場合などは週に一度(木曜日)、リハビリテーション専門外来を設けているので、通院をお勧めする場合があります。