軟部外科

精巣腫瘍(陰嚢切除)

プロフィール

ボストンテリア、14歳、未去勢雄

主訴

数年前から睾丸の腫脹
最近になり睾丸表面からの出血、食欲不振、血便、血尿、多飲などの症状

診断

数年の間に5倍の大きさになっており、その表面は触知にて凹凸が触れます。
血液検査では軽度の貧血が見られ、超音波検査にて前立腺肥大と前立腺膿瘍、鼠径リンパ節の腫大が確認されました。
総合的に『精巣腫瘍』の可能性が高いため、両側ともに精巣を切除することになりました。精巣腫瘍の確定診断には病理組織学的な評価が必要となります。

治療経過

電気メスを使用し、両側の陰嚢切除を行いました。
術後は1日入院し、抗生剤、抗炎症薬を処方の上、翌日退院することになりました。
1週間後の再診では経過良好、稟告の症状は改善しました。

精巣腫瘍の治療方法は、外科的摘出が第一選択です。腫瘍を取り除くと同時にホルモンの影響を抑えることが可能です。さらに、腫瘍が悪性である場合や転移の疑いがある場合には、化学療法や放射線療法が選択肢として検討されることもあります。
精巣腫瘍の予防には、若齢期の去勢手術が有効です。中齢期以降でタイミングがなく去勢手術に踏み切れずに迷われている方も多いかと思います。去勢手術を行わない場合は、定期的な健康診断により早期発見・早期治療につなげることが大切です。

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