腫瘍

犬の肝臓腫瘍

15歳、小型犬

肝臓に腫瘤ができたため、手術のセカンドオピニオンの為に来院されました。

高齢なことや、その他の基礎疾患もあった為飼い主様は悩まれておりましたが、数ヶ月の間に腫瘍の増大傾向が見られたため、手術を行うことになりました。

・左の外側左葉に発生した肝臓腫瘤(CT)

手術はその他の基礎疾患の精査や手術時の時のための輸血用血液の確保など、入念に準備を行います。

今回の術式は「外側左葉の肝葉切除」

犬の肝臓は6つの房に分かれたような構造をしていますが、大きな根本の血管を処理して肝臓の房ごと腫瘤を摘出するような術式になります。最大のリスクは手術時の出血で、大きな血管を損傷すると術中死のリスクもありますので、細心の注意をはらって手術を行なっていきます。

今回の症例では、特に大きな出血や合併症もなく手術を終えることができました。

病理組織の結果は”肝細胞癌”という結果でした。悪性のものではありますが、転移がない状態でしっかり摘出さえ出来ていれば長期生存が見込める可能性が高い腫瘍です。

肝臓腫瘍は初期の段階では症状を起こすものは少なく、出血などの症状を呈する場合はかなり腫瘤が巨大化してしまっていることも少なくありません。

小さいうちに発見・手術できることが手術リスクの低下につながりますので、1年に2回程度は健康診断での画像検査をおすすめしています。

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