脾臓腫瘍(血腹) 脾臓腫瘍は犬の腫瘍の中でも比較的発生頻度の高い腫瘍の一つです。脾臓にできる腫瘤の中には良性の血腫や悪性腫瘍の血管肉腫や肥満細胞腫などがあります。脾臓の腫瘍は大きくなっても症状が認められずエコー検査やCT検査などで偶発的に発見されることもあります。脾臓にできものができると良性であれ悪性であれ急な出血を起こすことがあり,出血を起こすと急激に血圧が低下しショック状態に陥り、命に関わることもあります。 症状 脾臓からの出血がない場合には、症状がない事もありますが、大きくなった腫瘤により腹部が腫れてきたり元気/食欲が低下することもあります。腹腔内で出血を起こすと通常ピンク色をした歯茎の色が白っぽくなったり、呼吸がハァハァしたり、急激にぐったりすることもあります。ショック症状が見られる場合にはできるだけ早急に診察・治療を行う必要があります。 診断 超音波検査やCT検査などの画像検査によって脾臓腫瘤や腹水の有無を確認します。特に状態が悪い時には無麻酔でのCT検査により負担を最小限に素早く状況を把握する事が可能です。また腹腔内の液体貯留から出血の確認と血液検査によって貧血の程度の評価を行うことができます。 治療 特に腫瘤が大きい場合や出血を起こしている場合には内科治療は難しく、緊急的な手術が必要になります。 手術では巨大になったり出血を起こしている脾臓を全摘出するのが一般的です。腹腔内出血により重度の貧血や出血性ショック症状を起こしている場合は、まず輸血や輸液剤の投与により状態を安定化させることも重要です。 悪性腫瘍であった場合でも手術を乗り切ればしばらくは穏やかな日常生活に戻れることがほとんどです。良性の血腫や結節性過形成であれば、外科手術によって完治も可能です。